荒川X野村インタビュー

「KH」のテイストでFFキャラクターが戦ったら楽しそうだなって

――ついに発売となる「DISSIDIA FINALFANTASY」(以下「DDFF」)ですが、歴代のFFキャラクターたちが
戦いを繰り広げるという内容は、どのようなアイデアから生まれたのでしょうか?

野村:「キングダムハーツ」(以下「KH」)シリーズを製作している時に、「KH」シリーズのバトルシステムを
使って対戦ゲームを作ったら面白いだろうな、と思ってたことがきっかけですね。
3D空間で自由に戦う「KH」のようなテイストで、FFキャラクターたちが戦ったら、楽しいのが出来るじゃないかと思ったのがきっかけです。
――「KH」シリーズを手がける野村さんならではのアイデアですね。
野村:地形をうまく利用して、隠れまわったりギミックを活用したりといった「KH」のバトルを、
対戦でも楽しんでみたいという想いが、本作を制作するきっかけとなっていますね。
荒川:「KH」シリーズのシンプルな操作で、色々な攻撃やアクションができるといった「自由度」の高いバトルを目指して製作したんですよ。

カインを登場させたかったですね!

――本作の登場キャラクターは、どのような経緯で決定したのでしょうか?また、女性キャラクターが少ないような印象を受けました。
野村:FFシリーズの歴代の主人公と宿敵を集めたら、自然に現在のメンバーになりましたね。
そうゆう理由で、女性キャラクターが少ないのですが、開発スタッフからは色々なアイデアが出ていましたよ。
荒川:光と闇の対決ですから、主人公とライバルという関係は崩したくなかったんです。
なので、クラウドの対になるキャラクターがティファではおかしいかな、と。
――ほかに登場させたかったキャラクターはいますか?
野村:カインですね!登場キャラクターの決定時期のぎりぎりまで、セシルのライバルはカインでいいんじゃないかと
言ってたぐらいです。でも、その二人を登場させてしまうと、他のキャラクターの関係が崩れてしまいますからね。
――カインがもし登場していたら、竜騎士ということで特殊な戦い方をしそうですね。
荒川:相手のブレイブを奪ったまま、そのまま空へ飛んでいってこないとかね(笑)。

イラストを描いた歳のコンセプトはキャラクターの「統一性」です。

――登場キャラクターのイラストをすべてリファインして、野村さんが描き直していますが、
どのようなコンセプトでイラストを描いたのですか?

野村:「統一感を出したい」というコンセプトで描きましたね。これまでのFFシリーズで、色々なイラストが
描かれてましたが、それを一度統一した絵柄でずらーっと並べてみたかったんですよね。
それに併せて、キャラクターの特徴を分かりやすく整理したかったという気持ちもありました。
荒川:当初から統一感というコンセプトはこだわっていましたね。統一感を出すために、オニオンナイトは原作から衣装をアレンジしていましたから。
野村:開発当初、オニオンナイトは原作のドット絵のイメージで、お腹がぷっくりとしたデフォルメイラストだったんです。
でも、他のキャラクターを描き進めていくうちに、やっぱり統一感を出そうと思いまして、現在のイラストになったんですよ。
――たくさんのイラストを描かれた上で、これは上手く描けた!というイラストはありますか?
野村:う〜ん…ガーランドかな〜。天野さんの原画もなかったですし、原作でも小さなドット絵くらいしか資料が無かったので、
あたかも、昔からこのデザインだったようになじませたつもりですが、上手くできたかな?と思ってます。
――主にデザインに苦労されたキャラクターは?
野村:バッツですね。元のドット絵のまま等身の高いイラストを起こすと、凄くシンプルになって他となじまなくなってしまいますから。
さらに。「FF5」が私がFFシリーズの開発に携わった初めての作品だったこともあり、すごくバッツに愛着がありましたから。
なので、髪型だけは原作のドット絵のイメージを出して描いてみました。
――さらに、アナザーコスチュームやEXカラーもありますよね。それらのデザインはどう決まったのですか?
荒川:まず、開発スタッフからアイデアが出るんですね。そこに色々なアイデアを詰め込んでいったという感じですね。
野村:オニオンナイトは最初EXモードになったら、全ジョブに変身出来る!なんてアイデアもあったんですけど、さすがにそれは無理でした。
――カオスサイドのEXカラーは、ラスボスだけに大きく姿が変わるので、デザインの際、大変だったのでは?
野村:原作そのままの超巨大な形態に変身させたり、元の形状と変わってしまうと、本作のゲームの性質上難しかったので、
ある程度アレンジを加えてリデザインしました。例えば、アルティミシアは原作でグリーヴァ形態になるんですが、忠実に再現は難しかったので、
現在の半身が変身している形になったり、セフィロスも同じモーションを共有させるために、原作のラストと同じ姿に出来ませんでしたね。

ストーリーは最初からクライマックスにしたかったんです

荒川:幾千年も光と闇の戦いが続いていた中、今回は光が破れ、そこに光の戦士たちが集まって闇を倒すために戦う、というコンセプトです。
野村:最初から窮地に立っている主人公たちといった、意外性を感じられる展開だと思います。また、このゲームはRPGのように長い時間をかけて
プレイするスタイルではないので、最初からクライマックスにしたかったんです。

対戦で勝てるようになりますよ!

――本作のバトルで新システムの「ブレイブ」がありますが、これはどのようなシステムなんでしょうか?
荒川:ブレイブとはキャラクターが持つ「攻撃力」のようなものなんです。高いブレイブで攻撃すると、相手のHPを多く減らせることが出来るんです。
本作は、キャラクターのレベルが上がっていくシステムですので、例えば、レベル1とレベル100のキャラクターが戦った際に、単純なレベル差で勝負が付いてしまいそうじゃないですか。
――普通はそうですね。
荒川:そこで、対戦ゲームとして面白くないと思いまして、レベルの差を補うシステムを作ろうということで、ブレイブシステムが生まれました。
野村:さらにそこに、キャラクターのカスタマイズの要素が絡んでくるんです。色々な装備品やアビリティを付けることで、どんな状態のキャラクター同士が
戦っても、ある程度対等に戦えるようになっています。
――そこにプレイヤーのテクニックも反映されますよね。
野村:やはりレベルや装備品、テクニックが高いプレイヤーは強くなると思いますが、逆にレベルが低くても、ブレイブやステージの地形を活用して、カスタマイズをしっかりすれば、戦いに勝利できます。
荒川:プレイするほど、単純に力押しでは勝てなくなりますね。しっかりと色々な要素を考えられるようになると勝率が上がっていくと思います。
――召還獣という要素はバトルでどれくらい重要なシステムなんでしょうか?
荒川:「召還獣の使い方で勝敗は左右される」というぐらい、実は重要なシステムです。主に、相手のブレイブに影響を与えるんですが、例えば自分のブレイブが0状態で大ピンチといった時に、
召還獣で相手のブレイブを1000取ってきて一気に大逆転!!なんて展開も考えられます。ただ、召還獣は勝手に発動するものなどもあるので、使い所が難しいんですけどね。

カードを交換すれば、その人のキャラクターと家で対戦できます!

――通信対戦は、どんな遊び方ができるんでしょうか?
荒川:通信対戦は絶対に入れたい要素だったんです。さらに普通の通信対戦以外の要素も入れたいと考えて、ゴースト対戦を採用しました。
――ゴースト対戦とは?
荒川:お互いのカードを交換すると、その人が育てたキャラクターといつでも対戦することができるんです。なので、顔をあわせて対戦後、キャラクターと戦って、どうすれば勝てるのかと練習できるんです。
――すれ違い通信とはどんな要素なんですか?
PSPをスリープモードにしておくと、自動的にカードが交換されるシステムなんです。このシステムで町ですれ違った知らない人のキャラクターとバトルが楽しめるんです。

時間が許す限り、出来ることは全て詰め込みました!

荒川:時間が許す限り出来ることは全て詰め込んだ作品になっています。皆さんぜひ遊んでみてください。
野村:スタッフ達のFFへの愛情が詰まった作品です。こんなにメインキャラを同時にたくさん描いた作品は初めてです(笑)。ゲーム部分もとことんこだわって製作しています。
年末、皆さんで集まってぜひプレイして楽しんでください!!


おまけ

荒川さんのお気に入りキャラクター
オニオンナイト(FF3)

EXバースト時に、原作のようにコマンド入力時になるところが荒川さんのお気に入り。アルティミシアも使うそうです。

野村さんのお気に入りキャラクター
ティナ(FF6)

自称「ガンナー」という野村さんはその言葉通り、遠距離魔法を得意とするティナを使うことが多いそうです。


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